走れ!タカハシのブログ

本の感想についてのブログ

「クリストファー男娼窟」草間彌生

タイトルからしてインパクト絶大だが、中身もインパクトがものすごい。アグレッシブで、ポップでアヴァンギャルド、しっちゃかめっちゃか。だが「死臭アカシア」になり急に静かになる。「離人カーテンの囚人」はキーコの状況が状況だけに正直読んでてつらい…

「失恋」鷺沢萠

短編集。この4人の人を思う気持ちが純粋で痛かった。特に「欲望」の悠介は、どうしてそこまで利他的になれるのかと思った。それにしても作者はお酒好きなのかね。しょっちゅうバーとか出てくる。少し林芙美子を彷彿とさせる感じだ。失恋作者: 鷺沢萠出版社/…

「葉桜の日」鷺沢萠

若い男性が主人公のふたつの小説。ひりひりした感じだが、ドロドロさはなくどこかさわやか。表題作より「果実の舟を川に流して」が印象に残った。バーが舞台で酒嫌いだけどがんばって読みました。葉桜の日作者: 鷺沢萠出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1990/1…

「本を読む女」林真理子

著者の母親である万亀が主人公。「あさが来た」が脳裏に過ぎったが、かなりお嬢様のあちらと違い平凡な生まれの女性だから親近感がわく。それでもドラマあり。いや見方を変えれば「あさが来た」よりドラマティックだ。昭和初期という時代背景もあって、「女…

「僧正殺人事件」S・S・ヴァン・ダイン

次々と新たな事実が発覚していく。そのたび「えっ!」と驚く。推理小説の醍醐味だ。表紙もセンスがいい。僧正殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集) (創元推理文庫)作者: S・S・ヴァン・ダイン,日暮雅通出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/04/05メディ…

「LAST」石田衣良

なんとも怖い短編集だ。嫌なリアリティが…。こんなことゴロゴロ転がってるんだろうな。明日は我が身か…。心臓に悪い。石田衣良はこんなのも書けるのか。見直した。特に「ラストシュート」の気分の悪さは特筆に値する。LAST作者: 石田衣良出版社/メーカー: 講…

「言い忘れてさようなら」イッセー尾形

イッセー尾形による短編集。処女小説じゃないのだろうか、ずいぶん手馴れた文章だ。肩の力を抜いてリラックスして読める。言い回しがいちいち面白い。言い忘れてさようなら作者: イッセー尾形出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2009/04メディア: 単行本 クリ…

「放蕩記」佐藤正午

私小説。実験的な書き方。読んでるうち、実際の佐藤正午とは違うんだろうなと思えてきた。他の作品も読みたくなってきた。放蕩記作者: 佐藤正午出版社/メーカー: 講談社発売日: 1991/07メディア: 単行本この商品を含むブログを見る

「おやすみ、こわい夢を見ないように」角田光代

読んだあと、疲れと脱力感としんどさがどっと出た。これは心を潰された人々の物語だ。同調してしまったのは、私にも思い当たるフシがあるのだろうか。表題作、過酷な現実に立ち向かえず打ちひしがれた沙織が叫んでいるように見えた。まるで文字が本から飛び…

「だれかのいとしいひと」角田光代

不幸とも違う、不器用にしか生きられない人々の短編集。同じく不器用な人には心にしみてくるだろう。どれもちょっと切ない。大きな物語ではないが、どれも心にジーンと響いた。この人の文章は透明感があっていいなぁ。解説もいい感じだ。だれかのいとしいひ…

「シャーロック・ホームズの思い出」コナン・ドイル

探偵小説の元祖、シャーロック・ホームズシリーズ。ついに読めた。エログロナンセンスを入れないところに好感を持てた。謎が解けた瞬間が気持ちいい。シャーロック・ホームズの思い出 (新潮文庫)作者: コナン・ドイル,延原謙出版社/メーカー: 新潮社発売日: …

「女が死んでいる」貫井徳郎

藤原がこんなに男前だとは知らなかった。意外なオチで楽しめた。短くて写真多めだから、サクッと読める。こんな試みの本がもっと増えてほしい。ダ・ヴィンチ ビジュアルブックシリーズ 女が死んでいる (ダ・ヴィンチBOOKS)作者: 貫井徳郎,藤原一裕出版社/メ…

「ペスト&コレラ」パトリック・ドゥヴィル

フランス文学らしくサラッとしてるので気負わず読める。でも短めなのになぜか読むのに時間がかかった。それほど熱心に追ってたということか。これ全部実話なんですね。なかなかスリリングだ。終わり方が残酷なのは、故人だから仕方ないやね。ペスト&コレラ作…

「橋を渡る」吉田修一

「橋を渡る」って、いいタイトルだなと読んだあと思った。これ以上のタイトルはない。それぞれの物語も展開が読めず、ハラハラするのだが冬になり、全てつながり「あっ!」と。読書をする快楽を思う存分味わった。なぜか荻原浩の「金魚姫」の「全ては繋がっ…

「ボラード病」吉村萬壱

東日本大震災の被災地で執拗に強制される愛郷教育。ももクロが「福島の桃が大好きです福島の野菜が大好きです」と一生懸命歌っていた時の何とも言い難い気持ち悪さが蘇ってきた。愛郷教育は愛国教育と一体化しているのだろうか。最後らへんは問題提起めいて…

「紅い棘」奥菜恵

奥菜恵、最近見ないな。スキャンダルに傷つけられたり、彼女の信念や女優としての覚悟がわかった。しかし後半になって、高橋歩の信奉者だったりスピリチュアル的なことを書き出した時は「大丈夫か?」と思ったが。紅い棘作者: 奥菜恵出版社/メーカー: 双葉社…

「女王の教室 The Book」

懐かしい。ドラマでは今世紀最大の問題作。真矢のメッセージは、成人した今に響く。志田未来や福田麻由子ばかり注目されていたが、私が気になっていたのは梶原ひかりちゃん。キラキラしながら屈折している少女を見事に演じていた。女王の教室The Book作者: …

「このゆびとまれ」1 大澄剛

これもあくまでファンタジーなんだろうな。同じ学校に子役がいたからわかるが、実際の子役はマネージャーにあんな態度取ってたら事務所から干される。打ち切りになるのもわかるが、まぁまぁ楽しめた。でもえなの顔があまりかわいいと思えなかった。もっと美…

「花の君」萩原さおり

どれも優しく甘酸っぱい物語たち。少女漫画っていいなと思えた。読み切りには読み切りのよさがある。花の君 (マーガレットコミックス)作者: 萩原さおり出版社/メーカー: 集英社発売日: 2015/11/25メディア: コミックこの商品を含むブログを見る

「あのコと一緒」3 藤末さくら

自分の高校のときと比べても、なぜ香澄があんな男を許すまでわからない…。人に見捨てられなくて必死なのが痛い。孤独を恐れすぎると、さらなる孤独が待っている。かのりはしっかりした子だなぁ。あのコと一緒 3 (りぼんマスコットコミックス クッキー)作者: …

フェミニズムはつまらない

Twitterで盛んな「怒れるフェミニズム」vs「楽しい怒らないフェミニズム」論争だが、私はどちらもバカバカしいなと冷笑的だ。そもそもが、フェミニズムは、つまらなくてくだらないものだからだ。女性の権利向上のための学問がフェミニズムなのであって、異性…

「ARISA」5 安藤なつみ

こんな現実あるなら、中学生にはキツイだろうなぁ。怖い顔を本当に怖く描く。学校裏サイトをテーマにした作品では秀逸。続きが気になる。これってつばさ?ARISA(5) (講談社コミックスなかよし)作者: 安藤なつみ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/09/06メ…

「約束のネバーランド」4 原作 白井カイウ 作画 出水ぽすか

ノーマンは頭がいいなぁ。何回もミスリードにやられた。よく練られた漫画だと思う。続きが気になる。約束のネバーランド 4 (ジャンプコミックス)作者: 出水ぽすか,白井カイウ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2017/07/04メディア: コミックこの商品を含むブロ…

「ゾロリ 2 in 1 かいけつゾロリのドラゴンたいじ きょうふのやかた」原ゆたか

最初のゾロリはなんともお下品だなぁ。話も面白いけど絵も絶妙にユーモアがある。メタフィクション好きにはたまらない仕掛けもあちこちに。かいけつゾロリのドラゴンたいじ かいけつゾロリのきょうふのやかた (ポプラポケット文庫―ゾロリ2 in 1 (050-1))作者…

「D坂の殺人事件」江戸川乱歩

初めて江戸川乱歩を読んだが、意外と読みやすかった。「地獄の道化師」の女の執念に身震いがした。D坂の殺人事件 (角川文庫)作者: 江戸川乱歩出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2016/03/25メディア: 文庫この商品を含むブログを見る

「ガラスのうさぎ」高木敏子

戦争文学というジャンルだけでなく児童文学の定番とされる作品。読んだのを全く覚えておらず、終戦の日が近いのをきっかけに読んだ。両親と妹を戦争で失い打ちひしがれた孤独さが伝わってきた。そこから生きようとする意志も伝わる。本作が忘れられてる今だ…

「男の事情 女の事情」ジョン・マクガハン

とにかく読みやすい。薄味なんだけど、結構よかった。瑞々しい。どぎつい下ネタもあるけど、雰囲気がいいのか、嫌じゃなかった。初めてのアイルランド文学でした。男の事情女の事情作者: ジョン・マクガハン,清水重夫他出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2…

「そこまでやらなくていいのに物語」ねじめ正一

オールディーズの迷惑ジジイっぷりに爆笑。ねじめ正一のユーモア爆発だ。草野球には草野球の面白さがあるのだろうな。ねじめさんは本当に長嶋のことが大好きなんだなぁ。しかし、なんでAmazonだと表紙が違う本なんだ?!全然違うわい!一刻も早く直して欲し…

「おれんちのいぬチョビコ」那須田淳・作 渡辺洋二・絵

小学生のころの思い出の本。好きすぎて、カセットテープに朗読したものを吹き込んでた。いたずら好きのチョビコと素朴な少年がかわいい。懐かしく、また買って読んだ。色あせない。おれんちのいぬチョビコ (絵童話・しぜんのいのち)作者: 那須田淳,渡辺洋二…

「午後の曳航」三島由紀夫

やはり三島由紀夫の見た目に関しての描写は魅力的だなぁ。最後まで屈折したルッキズムに囚われていたんだよな。少年は最後までこの世界の被害者だった。午後の曳航 (新潮文庫)作者: 三島由紀夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1968/07/15メディア: 文庫購入:…