走れ!タカハシのブログ

本の感想についてのブログ

2017-08-15から1日間の記事一覧

「マリカの永い夜/バリ夢日記」吉本ばなな

前半が小説で後半が旅行記という変わった構成。「マリカの永い夜」は多重人格者と医師がバリを旅する小説だが、多重人格者マリカ(オレンジ)を作家の偏見で異常とする風潮に静かに、本当に静かに逆らい医師はマリカ(オレンジ)と「普通」に接していく。他者を…

「日々のこと」吉本ばなな

なんて飾らないタイトルなんだ。まんまじゃん!と突っ込みながら読んだのだが、ささいな日常からいろんなことを拾ってくのが得意な人だ。ばなな自身は何しているのかというと、ただ遊んでいるだけ。それだけでこんなに面白く味わい深いエッセイになるとは。…

「カッパのぬけがら」なかがわちひろ

男の子がカッパになる話なのだが、話をふくらませるのがうまい。カッパが男の子に対して最後までふてぶてしい態度を取るところが良い。紙は全て青色で、水の中にいるようだ。でも実はバッドエンドなのだ。それを大げさに書かず、カッパの表情全てで哀愁を表…

「ポイズンドーター・ホーリーマザー」湊かなえ

短編集。人間ってなんていやらしいんだ、と読んだ後思った。しばらくあとを引く。元祖イヤミスの才能が爆発だ。ここまで強烈で、逆に気に入った。表題作、「笑うセぇるすまん」でも子供に自分の夢を押し付け、子供を自分の身代わりであるようにする母親が出…

「大切なきみ」マックス・ルケード

教訓めいた話だが説教くさくない。ずいぶんあっさりしているのはアメリカの絵本だからか。作者が牧師と考えたら、ずいぶん意味深な話だ。特別なことは何も起こらない。子供が産みの親に会い「あなたは尊い」と向かい合い言われるだけだ。そこが考えさせられ…

「ロボット創造学入門」広瀬茂男

ロボットの作り方を指南しているのではない。地雷ロボットができるまで、ロボットと社会との関わり、あと倫理にまで踏み込んでいる。確かにロボットを人間と同じく見なすのは人間のためにならない。そこはもともと私もそう思っていたので同意した。執着があ…

「杖下に死す」北方謙三

北方謙三といえば憧れる読書家も多いのでは。私にとっても例外ではなく、葉巻をくゆらせ口の少ないたたずまいだけで他を圧倒するシブいオジサンといった感じで、気になっていた。そしてついにリサイクル図書でこれを見つけて読んだ。初めての時代小説だった…